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「裁決は一度出たら変えられない」という文を覚えると、裁決を受けた国民も取消訴訟を起こせないように感じてしまう。実は、誰に対して、どんな変更が制限されているのかが大切だ。
審査請求と裁決の位置を確認する
行政庁の処分に不服がある人は、要件に従って審査請求できる。審査庁は争いについて判断し、裁決をする。裁判所が出す判決とは制度も主体も異なる。
裁決には、認容・棄却・却下などの結論がある。却下は原則として不適法、棄却は原則として理由なしとする判断である。どの効果が生ずるかは処分、裁決の種類と法律を確認したい。
三つの「力」を分ける
- 不可争力:法定期間の経過などにより、原則として当事者が通常の方法で争えなくなること。誰に対する期間制限かが問題になる。
- 不可変更力:争訟を裁断する行政行為について、裁決庁が自ら恣意的にその裁断を変更できないという効力。国民が適法な裁決取消訴訟を提起することとは別である。
- 拘束力:裁決の趣旨に反する行政庁の対応が許されないなど、関係行政庁を拘束する働き。
この三つは「二度と誰も争えない」という意味にまとめられない。裁決の違法を争う場合には、行政事件訴訟法の原処分主義との関係も必要だ(別稿で整理する)。
審査請求できる主体
法人格のない社団・財団でも、代表者または管理人の定めがあれば、団体の名で審査請求できる(行政不服審査法10条)。
数人が共同で審査請求することもできる(11条)。一方、行政庁の不作為について審査請求できるのは、法律に基づく申請をした者が基本となる(3条)。
代理人は何でもできる?
代理人を通じた審査請求は可能である(12条)。しかし審査請求の取下げには特別の委任が必要。「代理人には取下げは絶対できない」とも「包括的な委任だけで常にできる」とも覚えない。
審理員名簿――作成と公表は強さが違う
審査庁は審理員となるべき者の名簿を作成するよう努める(17条)。名簿を作成したときは、これを公にしておく義務がある。作成は努力義務、作成したら公表義務。
理解チェック
まず自分で答えを考え、各カードを開いて結論と根拠を確認する。
Q1裁決の不可変更力があれば、国民も適法な裁決取消訴訟を提起できないか。
裁決庁による変更の制限と、当事者の訴訟提起は別の問題。
Q2審理員名簿の作成と、作成後の公表は同じ義務か。
行政不服審査法17条。努力義務と通常の義務を読み分ける。
Q3代理人が審査請求を取り下げる場合、何が必要か。
行政不服審査法12条。単に代理人だから無条件にできるわけではない。
関連条文:行政不服審査法3条、10〜12条、17条、行政事件訴訟法10条。