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不服申立てでは、手続の名前だけでなく選択できる時点と順番を守る必要が生じる時点を理解しておくと条文が読める。
再調査の請求を最初に選ばなければいけない?
再調査の請求は、処分庁による見直しを求める手続であり、法律に特別の定めがある場合に利用できる(行政不服審査法5条1項)。制度があるときも、通常、初めから審査請求を選ぶことは妨げられない。
ただし、いったん再調査の請求をしたら、原則としてその決定の後でなければ審査請求へ進めない(5条2項)。
決定が来ないと永遠に待つのか
再調査の請求から3か月を経過しても決定がない場合などには、決定を待たず審査請求できる例外がある。ここで法が定めているのは次の手続へ進むことの許容であって、何も決まっていないのに棄却されたものとみなす規定ではない。
さらに行政庁への不服申立てと、裁判所で行う取消訴訟とは別の制度である。行政事件訴訟法8条の原則・例外を混ぜずに確認する。
教示(きょうじ)は誰を保護する?
処分庁は不服申立てが可能な処分について、申立てができる旨、申立てをすべき行政庁、期間などを原則として書面で教示する(82条1項。口頭処分に関する例外に注意)。
処分の直接の相手方でなくても、利害関係人が申立方法について教示を求めれば応じる規定がある(82条2項)。書面による教示を求められたときは書面による(82条3項)。
行政庁を誤って教示された場合――22条
たとえば、Aに対して処分庁が「B庁へ申し立てなさい」と誤って教示した。AはB庁に審査請求書を提出した。この場合、法定の手続に従い送付する。B庁がAに返送して最初から提出し直させるという制度ではない。
所定の送付が行われた場合には、審査請求は初めから正しい審査庁にされたものとみなされる(22条5項)。起算と出訴期間については、条文ごとの効果を正確に読まなければならない。
そもそも教示がなかった場合――83条
教示漏れの場合には、処分庁に不服申立書を提出する仕組みがあり、適切な申立て先が別にあるときの送付、初めから適切な行政庁に申立てがされたものとするみなし規定も置かれている(83条)。
この「みなす」は申立てがされた事実と時点に関するものだ。前項の「3か月が経過して棄却みなし」とはまったく違う。
法律日本語メモ:「教示される」「みなす」「とは限らない」
「Aは、処分庁から、B庁を審査請求先として教示された」という受身文では、Aが案内を受けた人、処分庁が案内した行政庁、B庁が案内された申立て先である。「誤った行政庁を教示され」という短い表現ではAなどが省略されるため、能動文「処分庁がAにB庁を教示した」に戻して確認すると読みやすい。
「みなす」は、法がどの事実を成立したものとして扱うかを示す。審査請求がされたものとみなすのか、棄却されたものとみなすのか、対象が違えば効果も大きく異なる。
また「誤った教示があったとしても、常に請求が不適法になるとは限らない」という文では、「あったとしても」の た が必ず過去の出来事だけを指すとは限らず、完成した状況を仮定する場合にも使える。とは限らないは「必ずそうとはいえない」を意味する定型表現で、「とは限れない」に置き換えるのは自然でない。できない(能力・可能性の否定)とは区別しよう。
理解チェック
まず自分で答えを考え、各カードを開いて結論と根拠を確認する。
Q1誤って案内された行政庁に審査請求書を出した。返送か送付か。
請求人に通知し、要件を満たす送付では初めから正しい審査庁に請求がされたものとみなす。
Q2再調査の請求から3か月経っても決定がない。棄却されたとみなすか。
決定を待たず審査請求できる場合がある。次の手続に進めることと、決定を擬制することは別。
条文:行政不服審査法5条、22条、82条、83条。