法律学習ノート

審査基準と処分基準を取り違えない――行政手続法5・7・8・9・12条

申請拒否は処分だが不利益処分ではない。審査基準と処分基準、理由提示、補正、努力義務を整理。

目次

「許可申請を拒否された。これは不利益処分なのか」。この問いは二つに分ける必要がある。申請拒否は行政庁の処分だが、行政手続法上の『不利益処分』の定義からは除かれる(2条4号ロ)。ここを混同すると、基準・理由提示・意見陳述手続のどれも間違いやすくなる。

審査基準は申請について、処分基準は不利益処分について

審査基準(5条)は、申請により求められた許認可等をするかを決めるための基準。行政庁はこれを定めなければならない。また、原則として公にしておかなければならない。

処分基準(12条)は、不利益処分をするか、その内容をどうするかの基準。行政庁はこれを定めるよう努めなければならない。公表も努力義務である。

つまり重要なのは「どちらも処分」という共通語ではなく、申請への回答なのか/行政庁が不利益処分を課すのかという手続の方向だ。

場面基準設定義務
飲食店営業の新規許可申請を審査審査基準・5条義務
営業上の違反で営業停止処分を検討処分基準・12条努力義務
許可申請を審査して拒否審査基準・5条義務

不備のある申請を放置してよいか――7条

申請書の形式的な要件に不備があるとき、行政庁は速やかに相当の期間を定めて補正を求めるか、申請により求められた許認可等を拒否するかの措置をとる必要がある。「補正のチャンスを必ず与える」と覚えるのも、「何もしなくてよい」と覚えるのも違う。

拒否の理由はいつ示すか――8条

申請に対する拒否処分をする場合、行政庁は原則としてその処分と同時に理由を示さなければならない。ただし、法は一定の明白な理由の場合に申請者から請求があれば示す扱いも規定している。条文のただし書を消して「いつでも例外なし」と覚えないようにする。

審査の進行状況は――9条

申請者から求められたとき、行政庁は審査の進行状況や処分時期の見通しを示すよう努めなければならない。5条の基準設定義務、8条の理由提示義務、9条の努力義務は、それぞれ強さが異なる。

理解チェック

SELF CHECK · 2 QUESTIONS

まず自分で答えを考え、各カードを開いて結論と根拠を確認する。

Q1許可申請を審査して拒否した。処分か、不利益処分か。
処分だが、不利益処分ではない

行政手続法2条4号ロは、申請拒否を不利益処分の定義から除外する。判断に用いるのは審査基準。

Q2「基準を定めるよう努めなければならない」のは5条か12条か。
12条の処分基準

5条の審査基準は設定義務。処分基準は努力義務で、強さが異なる。

条文:行政手続法2条、5条、7〜9条、12条。