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行政手続法でややこしいのは、似た制度を全部同じものとして覚えてしまうことだ。聴聞と弁明の機会の付与はいずれも不利益処分の相手方を保護するが、手続の厚みが違う。
聴聞と弁明の機会の付与
聴聞には、当事者の代理人選任(16条)、一定の資料についての文書等閲覧(18条)、**調書・報告書の作成(24条)**などの規定がある。
一方、弁明の機会の付与は原則として弁明書の提出という簡易な手続(29条)。31条により16条の代理人に関する規定は準用されるが、聴聞について定められた18条の文書等閲覧、24条の調書・報告書の規定まで当然に準用されるわけではない。
| 比較 | 聴聞 | 弁明 |
|---|---|---|
| 代理人を選任できる | ○ | ○ |
| 聴聞の文書等閲覧請求権 | ○ | 31条で準用されない |
| 聴聞調書・報告書 | 規定あり | 31条で準用されない |
| 原則的な実施方法 | 口頭審理を中心とする手続 | 書面提出 |
弁明で閲覧規定が準用されないことは、他の情報公開制度から何も得られないという意味ではない。
通知・勧告・命令は役割が違う
不利益処分前に相手に意見を述べる機会を知らせる通知と、行政庁が望ましい行動を求める勧告と、法的効果を伴う命令は、区別して検討する。
たとえば個人情報保護委員会による法令に基づく勧告が行政指導に当たり、命令が処分に当たると設定された事例では、それぞれに異なる条文が適用される。個人情報保護委員会は民間団体ではなく、国の独立性を持つ行政機関である。
行政指導の方式(35条1項)では、趣旨・内容・責任者を明らかにする。行政指導の中止等を求める制度(36条の2)と、法令違反に対処するための処分等をしてほしいと求める制度(36条の3)は方向が違う。
命令が不利益処分に当たる場合には、14条の理由提示が重要になる。原則として処分と同時に理由を示すが、差し迫った必要がある場合などのただし書・例外も法文にある。
見分ける順序
まず行政指導か処分か。次に処分なら、申請に対する処分か不利益処分か。さらに不利益処分なら、聴聞か弁明か、どの規定が準用されるかを検討する。
理解チェック
まず自分で答えを考え、各カードを開いて結論と根拠を確認する。
Q1弁明の機会の付与では代理人を選任できるか。
行政手続法31条が16条を準用するため。
Q2聴聞の文書等閲覧規定(18条)は、弁明でも当然に準用されるか。
聴聞と弁明の手続の厚みは異なる。別の情報公開制度との関係は別途考える。
条文:行政手続法14〜16条、18条、24条、29〜31条、35〜36条の3。